上田銀器工芸社長の上田耕造さんは、銀を打つときそのままに熱い思いをこう語ります。
16歳から師匠である先代に師事し銀器一筋に歩んできた上田さんの食器は、日本人ならではの緻密さと欧米に伝わる実用性と耐久性を兼ね備える完成された技で、見る人を圧倒する逸品です。社長の誠実な人柄と製品の美しさに惹かれ、親子にわたり愛用しているお客様も少なくありません。
江戸の伝統工芸でもっとも有名な分野のひとつに挙げられるのが「江戸漆器」。 始まりは徳川家康が江戸城へ入城した際、京都の漆職人を招いたことだとされています。茶道具・座卓などの高級品から、そばの器やうなぎの重箱など業務用の製品に至るまで、実用性を重視した品が「江戸漆器」の特徴です。
堀切ですでに三代目を営む「江戸漆器」工芸士である江崎幸一さんは、熟練とアイデアの人。
祭りに欠かせない「御輿(みこし)」「獅子頭(ししがしら)」製作を手掛けたり、太鼓・つづみ・笛など和楽器の工芸士としても有名ですが、一方では現代のニーズにアンテナを張りめぐらし、ヒット作「漆塗りカレースプーン」を世に出しました。
「高齢の方はカレーを食べるとき、熱が伝わりすぎる金属のスプーンで口に入れることが大変なんです。漆でできたスプーンだとその熱さもやわらげられ、好評ですよ」と江崎さん。
下町に生きる職人さんならではの温かい視点で、“人に優しい漆器”を作り続けています。